分譲マンションを購入すると火災保険への加入を検討しますが、「マンションの場合、どこまで自分で保険をかければいいの?」と迷う方が多いはず。マンションには戸建てにはない「専有部分と共用部分」という区分があり、ここを理解するのが保険選びの第一歩です。この記事では、マンションならではの火災保険の選び方を、初めての方にもわかりやすく解説します。
マンションは「専有部分」と「共用部分」に分かれる
自分で保険をかけるのは「専有部分」と「家財」だけ
マンションの建物は、大きく2つに分かれます。
- 専有部分:自分の部屋の内側(壁・天井・床の内装、キッチンやお風呂などの設備)
- 共用部分:廊下・エレベーター・エントランス・外壁・屋上・バルコニーなど
このうち、共用部分は管理組合が加入する保険でカバーされるのが一般的です。つまり、自分で火災保険をかけるのは「専有部分」と「家財(家具・家電・衣類など)」だけでよいのです。
専有部分の範囲は管理規約で確認
専有部分と共用部分の境界は、多くのマンションで「上塗基準(壁・天井・床の表面の内装から内側が専有部分)」とされていますが、マンションによって異なる場合があります。正確な範囲は管理規約で確認しましょう。保険の見積もりの際にも聞かれることがあります。
補償額の決め方|購入価格で設定しない
火災保険の補償額は、マンションの購入価格ではなく、専有部分を元どおりに直すのに必要な金額(再調達価額)で設定します。
マンションの購入価格には土地の持分や共用部分の価値が含まれているため、購入価格のまま設定すると補償額が過大になり、保険料の払いすぎになります。逆に少なすぎると、いざという時に元どおりに直せません。
専有部分の再調達価額は、専有面積などをもとに保険会社が算出してくれます。目安として、戸建ての建物補償額よりかなり低くなるのが普通です。
💡 補償額は自由に決められるわけではない
補償額は、保険会社が専有面積や構造から算出した評価額を基準に、一定の範囲内で設定するのが一般的です。火災保険は実際に受けた損害額しか支払われないため、評価額を超えて掛けても、超えた分の保険料はムダになります。逆にいえば、専有面積から適正額を出してもらえるので、金額設定で大きく間違えることは少ないともいえます。
マンションで特に重要な補償は「水濡れ」と「個人賠償」
マンションのトラブルで最も多いのが、上下階の水漏れです。ここはマンションの火災保険選びで一番のポイントです。
パターン1: 上の階から水が漏れてきた(被害者になった場合)
自分の部屋の天井や家財が水浸しになった場合、まずは自分の火災保険の「水濡れ補償」で対応します。上の階の住人に賠償してもらえる場合もありますが、相手が無保険だったり、原因が共用部分の配管だったりと、すぐに解決しないことも多いためです。
水濡れ補償は多くの火災保険で基本補償に含まれていますが、補償を選べるタイプのプランでは外れていることもあるため、契約内容を確認しておきましょう。
パターン2: 自分の部屋から階下に水を漏らした(加害者になった場合)
洗濯機のホースが外れた、お風呂の水があふれたなどで階下に被害を出すと、数十万〜数百万円の賠償になることがあります。これに備えるのが「個人賠償責任特約」です。
個人賠償責任特約で対応できるのは、下階の天井・壁・家財など「相手のモノへの賠償」です。自分の部屋の修理費は対象外なので、自分の火災保険(水濡れ補償)で対応します。
個人賠償責任特約は、自転車事故など日常生活の賠償にも幅広く使え、保険料も月数百円程度です。ただし、自動車保険やクレジットカードにすでに付いていることがあるため、重複していないか確認してから付けましょう。
家財の保険はどうする?
火災保険は「建物(専有部分)」と「家財」を別々に契約します。専有部分だけ保険をかけて、家財を付け忘れる(または最小限にしてしまう)ケースが意外と多いので注意しましょう。
家財保険がカバーするもの
家具・家電・衣類・食器・寝具など、部屋の中の「動かせるモノ」全般です。マンションでは次のような場面で役立ちます。
- 火災・もらい火:自室や近隣の火災で家財が焼けた
- 水濡れ:上の階からの水漏れで家電や家具が濡れた(マンションで最も現実的なリスク)
- 盗難:空き巣に入られて現金や貴金属・家電が盗まれた
- 破損・汚損(特約による):掃除中にテレビを倒して壊したなど
家財の補償額はいくらにする?
保険会社は世帯人数や年齢に応じた目安額(例:夫婦+子ども世帯で1,000万円前後)を提示しますが、目安のまま契約すると過大なことが多いです。「今の家財を全部買い直したら実際いくらかかるか」をざっくり計算して、実態に合った金額で設定すると保険料のムダを防げます。
逆に、一人暮らしだからと少なくしすぎると、水漏れや火災で家電・衣類を一式買い直すときに足りなくなります。家電一式+家具+衣類だけでも意外と大きな金額になるので、一度書き出してみるのがおすすめです。
家財にも地震保険を付けられる
地震保険は建物だけでなく家財にも掛けられます。次の項目で触れるとおり、耐震性の高いマンションでは「建物より家財のほうが地震の被害を受けやすい」ため、地震への備えは家財を中心に検討するのも一つの考え方です。
水災補償は階数によっては外せる
洪水や豪雨による浸水を補償する「水災補償」は、2階以上の部屋であれば必要性が低いケースが多く、外すと保険料を抑えられます。
ただし、1階や低層階の場合や、ハザードマップで浸水想定区域に入っている場合は、付けておくと安心です。お住まいの地域のハザードマップを確認して判断しましょう。
地震保険はどうする?
地震による火災や倒壊は、火災保険では補償されません。備えるには地震保険が必要で、火災保険とセットでしか加入できません。
マンションは建物の地震リスクは低め
1981年6月以降の新耐震基準で建てられた鉄筋コンクリート造のマンションは、過去の大地震(東日本大震災・熊本地震など)でも倒壊・全壊した例はごくわずかです。「建物が丸ごと壊れるリスク」は戸建て(特に木造)よりかなり低く、その意味で建物(専有部分)への地震保険の必要性は戸建てより低めといえます。
ただし、マンションでも現実に起きる被害がある
- 壁のひび割れ・タイルの剥がれなど「一部損」レベルの損害:倒壊しなくても起きやすく、地震保険は一部損でも補償額の5%が支払われます
- 家財の被害:食器棚の転倒、テレビや食器の落下・破損。実は地震で一番身近な被害で、建物は無事でも家財はダメージを受けることが多いです
- 地震による火災:火災保険では一切補償されません(地震保険のみ)
- 液状化などの地盤被害:低層階・立地によってはリスクがあります
このため「マンションだから地震保険は不要」とは言い切れません。建物への必要性は低めですが、家財の地震保険を中心に検討するのも一つの考え方です。
加入するなら知っておきたい特徴
- 補償額は火災保険の半額まで(火災保険の30〜50%の範囲で設定)
- 損害の程度(全損〜一部損)の認定によっては、補償額の一部しか受け取れない
- 保険料は高め(地震リスクの高い地域では特に高くなります)
地震保険は「家を建て直すため」というより「被災後の生活を立て直すための資金」と考え、貯蓄の状況や地域の地震リスクに合わせて判断してください。
複数社の比較は一括見積もりが便利
同じ補償内容でも、保険会社によって保険料には差があります。マンションの場合、専有面積や築年数、補償の組み合わせ(水災の有無など)で保険料が変わるため、複数社を比較する価値は十分あります。以下のサービスなら、入力約3分で複数社の見積もりが取得できます。
よくある質問
まとめ
マンションの火災保険は、「自分でかけるのは専有部分と家財だけ」「補償額は購入価格ではなく再調達価額で設定」「個人賠償責任特約も重要」の3点を押さえておきましょう。
水災補償の要否や特約の組み合わせで保険料は大きく変わります。自分の部屋の階数や地域のリスク、すでに持っている保険との重複を確認した上で、複数社を比較して自分に合った火災保険を選んでください。
※本記事の内容は一般的な情報です。補償内容や保険金のお支払い条件は保険会社や契約内容によって異なるため、実際の補償の可否については保険証券・約款をご確認いただくか、保険会社へお問い合わせください。
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