【2026年版】年金の給付内容|老齢・障害・遺族年金をわかりやすく解説

年金の給付内容

「年金は老後にもらえるもの」というイメージが強いですが、日本の年金制度には障害を負ったときや、一家の大黒柱が亡くなったときにも支給される給付があります。この記事では、まず年金制度の基本的な仕組みを整理したうえで、老齢・障害・遺族の3種類の給付をわかりやすく解説します。

年金の「2階建て」構造とは

日本の公的年金は、「基礎年金(1階部分)」と「厚生年金(2階部分)」の2層構造になっています。

2階部分
厚生年金
基礎年金への上乗せ。給与・加入期間により異なる
会社員・公務員が対象
1階部分
基礎年金(国民年金)
全員が加入する土台。満額:年間約84.7万円(2026年度)
20歳〜60歳の全員が対象
  • 基礎年金(国民年金):20歳から60歳までのすべての人が加入。自営業者・学生・専業主婦なども含む。満額で年間約84.7万円(2026年度)
  • 厚生年金:会社員・公務員が加入。基礎年金に上乗せして受け取れる。受給額は現役時代の給与と加入期間によって異なる

💡 会社員は自動的に2階建てになっている

会社員は給与から厚生年金保険料が天引きされており、基礎年金と厚生年金の両方に同時加入しています。保険料は会社と本人で半額ずつ負担(給与の合計18.3%)します。

自営業者は基礎年金(国民年金)のみで、厚生年金の上乗せはありません。保険料は月額17,920円(2026年度)を全額自己負担します。

① 老齢年金(老後の年金)

一定の加入期間を満たした人が、原則65歳から受け取れる老後の年金です。

老齢基礎年金(1階部分)

国民年金に加入した期間に応じて受け取れます。40年間(480か月)満額加入すると、年間約84.7万円(月額約7.1万円)を受給できます。加入期間が短いとその分減額されます。

老齢厚生年金(2階部分・会社員のみ)

老齢基礎年金に上乗せして受け取れます。受給額は現役時代の平均給与×加入月数をもとに計算されるため、給与が高く・勤続年数が長いほど多く受け取れます。

老齢年金 受給例(目安)

平均的な会社員の場合

年金の種類目安の年金額
老齢基礎年金(1階・全員共通)年間約84.7万円(満額)
老齢厚生年金(2階・会社員の上乗せ)年間約60〜80万円(平均的な会社員)
合計(会社員・夫婦2人世帯の目安)月額約23〜25万円程度

※加入期間・給与水準により大きく異なります。ねんきん定期便やねんきんネットで自分の予想受給額を確認できます。

💡 繰下げ受給で年金を増やせる

65歳より遅く受け取り始める「繰下げ受給」を選ぶと、1か月遅らせるごとに0.7%増額されます。70歳まで繰り下げると42%増、75歳まで繰り下げると84%増になります。長生きするほど有利です。

⚠️ 繰上受給(早めに受け取る)のメリット・デメリット

65歳よりも早く、60〜64歳の間に年金を受け取り始める「繰上受給」という制度もあります。早期退職後の収入確保や、健康上の理由で長生きを見込みにくい場合などは早めに受け取る利点もあります。ただし、1か月繰り上げるごとに0.4%が一生涯減額される点は理解しておく必要があります(2022年4月以降に60歳になった方)。

受け取り開始年齢減額率月額の目安(満額換算)
65歳(通常)減額なし約7.1万円/月
64歳(1年繰上)▲4.8%約6.7万円/月
62歳(3年繰上)▲14.4%約6.0万円/月
60歳(5年繰上)▲24.0%約5.4万円/月

繰上受給のデメリット・注意点

  • 一度選択すると取り消しができず、一生その減額率で受給が続く
  • 繰上受給後に障害状態になっても、障害基礎年金を受け取れなくなる
  • 基礎年金と厚生年金はセットで繰り上げる必要がある(どちらか一方のみ不可)
  • 寡婦年金(国民年金の任意加入者の夫が亡くなった場合の給付)も受け取れなくなる

早期退職・定年退職後の生活費が必要な場合でも、まずNISAの活用を検討してから、繰上受給を判断することをおすすめします。NISAは運用益が非課税で、いつでも引き出せる柔軟性があるため、老後の生活費の補填として特に活用しやすい制度です。節税も重視したい場合はiDeCoの併用も有効ですが、60歳まで引き出せない点には注意が必要です。

② 障害年金(障害を負ったとき)

病気やケガで障害状態になったとき、年齢に関係なく受け取れる年金です。障害の重さによって等級が分かれており、1階部分の障害基礎年金と、2階部分の障害厚生年金があります。

障害基礎年金(1階部分・1〜2級)

国民年金に加入中に初診を受けた傷病で障害を持った場合に支給されます。1級・2級の2段階があり、自営業者・学生・専業主婦も含む全員が対象です。

障害基礎年金 金額と条件
等級受給額(2026年度)
1級(日常生活に常時介護が必要)年間約106万円(満額の1.25倍)+子の加算
2級(日常生活に著しい制限)年間約81.6万円(満額と同額)+子の加算

子の加算:第1子・第2子は各約24.4万円、第3子以降は各約8.1万円(子が18歳到達年度末まで)

受給するための主な条件

  • 初診日に国民年金の被保険者(または60〜65歳未満で日本在住)であること
  • 保険料の納付要件:初診日の前日時点で、加入期間の3分の2以上の期間に保険料を納付・免除していること(または直近1年間に未納がないこと)
  • 障害認定日(初診日から1年6か月後)に1級または2級の障害状態に該当すること

障害厚生年金(2階部分・会社員のみ・1〜3級)

厚生年金加入中に初診を受けた場合に、障害基礎年金に上乗せして支給されます。会社員のみが対象で、3級という区分が追加されるのが特徴です。

障害年金 等級ごとの給付

1〜3級の区分に応じて支給

等級障害の目安給付内容
1級 日常生活に常時介護が必要 障害基礎年金1級(年約106万円)+障害厚生年金(報酬比例×1.25)※会社員のみ上乗せ
2級 日常生活に著しい制限 障害基礎年金2級(年約84.7万円)+障害厚生年金(報酬比例額)※会社員のみ上乗せ
3級 労働に著しい制限
(厚生年金独自の等級)
障害厚生年金のみ(最低保障額:年約63.6万円)
※自営業者には3級の給付なし

自営業者は3級に該当しても障害年金を受け取ることができません。会社員は3級分もカバーされる点が大きなメリットです。

⚠️ 若いうちから受け取れる可能性がある

障害年金は年齢制限がなく、20代・30代でも受給できます。がん・うつ病・糖尿病の合併症なども対象になる場合があります。「自分には関係ない」と思わず、万が一の際は申請を検討しましょう。

③ 遺族年金(被保険者が亡くなったとき)

年金に加入している人が亡くなった場合に、残された家族が受け取れる年金です。こちらも1階部分(遺族基礎年金)と2階部分(遺族厚生年金)に分かれています。

遺族基礎年金(1階部分)

受け取れるのは「子のある配偶者」または「子」に限られます。子どもがいない配偶者は受給できない点が注意点です。

  • 子のある配偶者:年間約84.7万円+子の加算(1人目・2人目は各24.4万円、3人目以降は各8.1万円)
  • 子のみ(配偶者がいない場合):同額を子が受給

遺族厚生年金(2階部分・会社員のみ)

厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に、遺族基礎年金に上乗せして支給されます。子のいない配偶者も受け取れるのが大きな特徴です。

遺族年金 比較

遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い

項目遺族基礎年金(1階)遺族厚生年金(2階)
受給できる人子のある配偶者・子のみ配偶者・子・父母・孫・祖父母(子なしでも可)
支給額年間約84.7万円+子の加算亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の3/4
子なし配偶者受給不可受給可能(30歳未満の妻は5年間のみ)

会社員が亡くなった場合は両方が受け取れるため、残された家族の保障が手厚くなります。

会社員と自営業者の違いまとめ

比較項目会社員(厚生年金加入)自営業者・フリーランス(国民年金のみ)
老後の年金 老齢基礎年金+老齢厚生年金(上乗せあり) 老齢基礎年金のみ(最大年約84.7万円)
障害年金 障害基礎年金+障害厚生年金(1〜3級対応) 障害基礎年金のみ(1〜2級のみ)
遺族年金 遺族基礎年金+遺族厚生年金(子なし配偶者も対象) 遺族基礎年金のみ(子ある配偶者・子のみ)
保険料 給与の18.3%(会社と折半のため自己負担は約9.15%) 月額17,920円(2026年度)・全額自己負担

✅ 自営業者は不足分を自分で備える必要がある

自営業者・フリーランスは、老後・障害・遺族の各給付が会社員より薄くなります。不足分は以下の制度を組み合わせて自分で補うことが大切です。

  • NISA(少額投資非課税制度):運用益が非課税で、いつでも引き出せる。老後資金づくりの入口として最もおすすめ
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除になり節税効果が高い。ただし60歳まで引き出せない
  • 小規模企業共済:自営業者・フリーランス向けの退職金制度。掛金が全額控除
  • 民間の生命保険・就業不能保険:障害・遺族の保障を民間保険で補う

よくある質問

Q. 自分の年金額はどうやって確認できる?
A. 毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で確認できます。また「ねんきんネット」(日本年金機構)に登録すると、いつでもオンラインで試算・確認できます。特に50歳以降は具体的な受給見込み額が記載されます。
Q. 会社を辞めると厚生年金の加入期間はどうなる?
A. 退職後は国民年金に切り替わりますが、在職中に積み上げた厚生年金の加入記録はそのまま保持されます。転職先でまた厚生年金に加入すれば加入期間は通算されます。転職・再就職後も着実に積み上がっていきます。
Q. 専業主婦(夫)はどうなる?
A. 配偶者が会社員・公務員で、自身の年収が130万円未満の場合は「第3号被保険者」として国民年金に加入し、保険料の負担なしに老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の権利が得られます。
Q. iDeCoやNISAとの違いは?
A. 厚生年金・国民年金は国が運営する強制加入の「公的年金」です。NISA(少額投資非課税制度)は運用益・売却益が非課税で、いつでも引き出せる柔軟性があるため、老後資金づくりの入口として最もおすすめです。節税効果も重視したい場合はiDeCo(個人型確定拠出年金)の併用も有効ですが、60歳まで引き出せない点に注意が必要です。公的年金を軸に、NISAを活用や、余裕があればiDeCoも検討するのが現実的なアプローチです。

📋 年金給付まとめ

  • 老後の年金:基礎年金(全員)+厚生年金(会社員のみ上乗せ)で65歳から受給
  • 障害年金:1〜2級は全員対象、3級は会社員のみ
  • 遺族年金:基礎年金は、子ある配偶者のみ
         厚生年金は、配偶者・子・父母・孫・祖父母(子なしでも可)が受給可能
  • 保険料:会社員は会社と折半(給与の約9.15%自己負担)
        自営業者は月額17,920円を全額負担

日本年金機構 公式サイト