会社員や公務員が加入する健康保険は、病気・ケガのときの医療費補助だけでなく、休業中の収入補償や出産費用のサポートなど、意外と知られていない給付が充実しています。この記事では、健康保険で受け取れる給付金の種類と金額をわかりやすく解説します。
① 医療費の自己負担と高額療養費制度
健康保険に加入していると、病院での窓口負担が原則3割に抑えられます(未就学児2割、70歳以上は1〜3割)。残りの7割は健康保険が負担します。
1か月の医療費が高額になったとき上限を超えた分が戻る
同じ月に支払った医療費が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。
| 所得区分 | 月の上限額の目安 |
|---|---|
| 年収約370万円以下 | 約57,600円 |
| 年収約370〜770万円(標準) | 約80,100円+α |
| 年収約770〜1,160万円 | 約167,400円+α |
| 年収約1,160万円超 | 約252,600円+α |
事前に「限度額適用認定証」を取得すれば、窓口での支払い自体を上限額に抑えることができます。
※ +αの部分(食費・差額ベッド代・先進医療費など)は上限額の対象外で、別途自己負担となります。
📝 今後の改定:上限額が2段階で引き上げへ(約30年ぶりの見直し)
2026年8月から、高額療養費の自己負担上限額が2段階で引き上げられます。医療費の高騰や保険財政の悪化を背景とした約30年ぶりの見直しです(2026年5月時点では現行の上限額のまま)。
| 実施時期 | 内容 |
|---|---|
| 第1段階:2026年8月〜 | 全所得区分で引き上げ(約4〜38%)。年収370〜770万円(標準)は約80,100円→約86,000円程度。新たに年間上限額(約53万円)も新設 |
| 第2段階:2027年8月〜 | 住民税非課税世帯以外をさらに細分化して引き上げ。年収約650〜770万円は月約11万円程度へ |
住民税非課税世帯(低所得者)への影響は限定的になるよう配慮されています。
② 傷病手当金(病気・ケガで仕事を休んだとき)
業務外の病気・ケガで連続3日以上休んだ場合、4日目から傷病手当金が支給されます。自営業者が加入する国民健康保険には原則この制度がありません。
休業中の収入を約2/3補償
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 直近12ヶ月の標準報酬月額平均 ÷ 30 × 2/3 |
| 支給期間 | 最長1年6ヶ月(通算) |
| 待期期間 | 連続3日休んだ後、4日目から支給開始 |
| 対象 | 業務外の病気・ケガによる休業 |
月給30万円の場合、1日あたり約6,667円(月約20万円)が支給されます。
⚠️ 退職後も受け取れる場合がある
在職中に傷病手当金を受け取り始めていた場合、退職後も支給期間が残っていれば継続して受け取れます(任意継続・国保加入後でも)。退職前に確認しておきましょう。
③ 出産に関する給付
赤ちゃん1人につき50万円
被保険者本人・被扶養者(配偶者)の出産どちらも対象。直接支払制度を使えば窓口での支払いを差し引いて精算できます。多胎(双子など)の場合は人数分支給されます。
産前産後の休業中の収入を約2/3補償
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給対象期間 | 産前42日+産後56日(多胎は産前98日) |
| 対象 | 健康保険の被保険者本人(扶養家族は対象外) |
④ 埋葬料(被保険者が亡くなったとき)
一律5万円
被保険者本人が亡くなった場合に遺族へ支給(埋葬料)。被扶養者(家族)が亡くなった場合も家族埋葬料として5万円が支給されます。
よくある質問
📋 健康保険 給付まとめ
- 病院の窓口負担:原則3割
- 高額療養費:1か月の負担に上限あり(所得に応じて約5.7〜25万円)
- 傷病手当金:休業4日目から最長1年6ヶ月、標準報酬の約2/3
- 出産育児一時金:1人50万円
- 出産手当金:産前産後計98日分、標準報酬の約2/3
- 埋葬料:5万円