「扶養内で働きたいけど、結局いくらまでなら大丈夫なの?」という疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。2026年の税制改正で、所得税や配偶者控除の基準が変わりました。
この記事では、配偶者・子ども・年金受給者・フリーランスのケース別に「壁」となる金額を整理します。
⚠️ まず「3つの壁」は別々に考える
扶養・税金の壁は混同しやすいですが、①社会保険の扶養、②税金(所得税・住民税)の控除、③自分自身の税負担の3つはそれぞれ別の制度です。どれか1つを超えたからといって、すべてが損になるわけではありません。
① 配偶者の場合
配偶者のパート収入には、社会保険・所得税・住民税それぞれに「壁」があります。2026年の改正で、所得税や配偶者控除の基準が引き上げられました。
| 壁の種類 | 収入の目安 | 超えるとどうなる? |
|---|---|---|
| 所税 所得税の壁 | 178万円 | 配偶者本人に所得税が発生(2026年改正) |
| 住民税 住民税の壁 | 119万円(自治体により誤差あり) | 配偶者本人に住民税が発生(2026年改正) |
| 社保 社会保険の扶養(130万円の壁) | 130万円 | 扶養から外れ、自分で保険料を払う必要あり ※130万円以下でも要件により職場で社会保険加入あり |
| 配控 配偶者控除(満額) | 136万円 | 配偶者控除が使えなくなる(所得税38万円・住民税33万円の控除が消える) ※正確には配偶者特別控除で173万円まで満額が使える |
| 配特 配偶者特別控除(満額→段階減額) | 136万円超〜201.6万円 | 136万円超〜173万円は満額(所得税38万円・住民税33万円)、173万円〜201.6万円は段階的減額 |
📋 職場での社会保険加入の要件
〜2026年9月までの加入要件(すべて満たすと加入義務)
- 週の所定労働時間が 20時間以上・月額賃金 8.8万円以上
- 雇用期間 2か月超
- 学生でないこと
- 従業員数 51人以上の企業
実質「週20時間以上の契約」が唯一の判定基準になります。
- 企業規模の要件も段階的に縮小され、政府は最終的に全事業所へ適用拡大する方針です
- 契約上の所定時間が週20時間未満なら、残業で年収130万円を超えても扶養内を維持できます(判定は「実際の収入」ではなく「契約上の年収見込み」で行われるため)
※2026年4月から被扶養者の認定基準が「契約上の年収見込み(残業・一時的な手当を除く)」に統一。ただし各健保組合の判断が異なる場合があります。
② 子ども(16〜18歳)の場合
高校生などの子ども(16〜18歳)を扶養している場合、扶養控除(一般扶養控除)が適用されます。大学生(19〜22歳)の特定扶養控除とは控除額が異なります。
| 壁の種類 | 収入の目安 | 超えるとどうなる? |
|---|---|---|
| 所税 所得税の壁 | 178万円 | 子ども本人に所得税が発生 |
| 住民税 住民税の壁 | 119万円(自治体により誤差あり) | 子ども本人に住民税が発生 |
| 社保 社会保険の扶養 | 130万円 | 親の扶養から外れ、自分で保険料を払う必要あり (130万円以内でも所定の条件で職場の社会保険加入あり) |
| 扶養控 扶養控除 | 136万円 | 親が扶養控除(所得税38万円・住民税33万円)を使えなくなる |
💡 16〜18歳の扶養控除について
16〜18歳の子は一般扶養控除(所得税38万円・住民税33万円)が適用されます。19〜22歳の特定扶養控除(63万円)より控除額は小さいですが、136万円を超えると控除がなくなる点は共通です。なお、扶養控除は16歳以上が対象で、15歳以下の子どもには所得税の扶養控除は適用されません。
③ 子ども(19〜22歳)の場合
大学生などの子どものアルバイト収入には「特定扶養控除」が適用されます。この控除額は一般の扶養控除より大きく、超えると親の税負担が大きく増えます。
| 壁の種類 | 収入の目安 | 超えるとどうなる? |
|---|---|---|
| 所税 所得税の壁 | 178万円 | 子ども本人に所得税が発生 |
| 住民税 住民税の壁 | 119万円(自治体により誤差あり) | 子ども本人に住民税が発生 |
| 社保 社会保険の扶養 | 150万円(2025年改定) | 親の扶養から外れ、自分で保険料を払う必要あり (150万円以内でも所定の条件で職場の社会保険加入あり) |
| 特定扶 特定扶養控除(満額→段階減額) | 163万円まで〜201万円 | 163万円まで満額(63万円控除)、163万円〜201万円は段階的減額(201万円で完全消滅) |
⚠️ 特定扶養控除を外れると親の税負担が大きく増える
特定扶養控除(63万円)がなくなると、親の課税所得が63万円増えます。所得税率20%の場合、年間約12.6万円の増税。住民税も合わせると年間約19万円以上親の負担が増えることがあります。子どもがバイトの収入を増やしても、世帯全体の手取りが減るケースがあるため要注意です。
④ 子ども(23歳以上)の場合
| 壁の種類 | 収入の目安 | 超えるとどうなる? |
|---|---|---|
| 所税 所得税の壁 | 178万円 | 本人に所得税が発生 |
| 住民税 住民税の壁 | 119万円(自治体により誤差あり) | 本人に住民税が発生 |
| 社保 社会保険の扶養 | 130万円 | 親の扶養から外れ、自分で保険料を払う必要あり (130万円以内でも所定の条件で職場の社会保険加入あり) |
| 扶養控 扶養控除 | 136万円 | 親が扶養控除(所得税38万円・住民税33万円)を使えなくなる |
⑤ 年金受給者(親・祖父母)の場合
年金収入がある親や祖父母を扶養に入れる場合の基準は、給与所得者とは異なります。
| 壁の種類 | 年金収入の目安 | 超えるとどうなる? |
|---|---|---|
| 所税 所得税発生 | 205万円以上 | 親本人に所得税が発生 |
| 住民税 住民税の壁 | 155万円(自治体により誤差あり・時限措置対象外) | 親本人に住民税が発生 |
| 配控・扶控 扶養控除(70歳未満) | 158万円まで | 扶養控除を使える(所得税38万円・住民税33万円)同居・別居ともに同額 |
| 老親 老人扶養控除(70歳以上) | 168万円まで | 老人扶養控除を使える(同居:所得税58万円・住民税45万円 / 別居:所得税48万円・住民税38万円) |
| 社保 社会保険の扶養(60歳以上) | 180万円まで | 子の健康保険の扶養に入れる |
⑥ フリーランス・自営業の場合
フリーランスの場合は「収入」ではなく「所得(収入-経費)」で判定されます。会社員と基準が異なる点に注意が必要です。
| 壁の種類 | 所得の目安 | 超えるとどうなる? |
|---|---|---|
| 所税 所得税の壁 | 所得104万円まで(R8・R9年度の時限措置、恒久化後99万円予定) | 本人に所得税が発生 |
| 住民税 住民税の壁 | 所得45万円まで(自治体により誤差あり・時限措置対象外) | 本人に住民税が発生 |
| 配控 配偶者控除(配偶者がフリーランスの場合) | 所得58万円まで | 配偶者控除が使える(所得税38万円・住民税33万円控除) |
| 社保 社会保険の扶養 | 所得95万円まで(年収130万円相当) | 配偶者の健康保険の扶養に入れる |
💡 フリーランスは経費計上で壁のコントロールができる
会社員と違い、フリーランスは「収入-経費=所得」で判定されるため、経費をしっかり計上することで所得を下げられます。ただし実態のない経費計上は税務調査のリスクがあるため、正しく申告することが前提です。
よくある質問
完全になくなったわけではなく、令和8・9年(2026〜2027年)の時限措置として所得税の非課税基準が103万円→178万円に引き上げられました。2028年以降の取り扱いは今後の議論次第です。
一方、社会保険の扶養(130万円の壁)は変更されておらず、こちらは引き続き重要な壁として残っています。
大切なのは「世帯全体の手取り」で考えることです。確認すべき3点は以下です。
- ①社会保険の扶養を外れる場合、新たに発生する保険料はいくらか
- ②配偶者(または親)が受けられなくなる控除でどれだけ税負担が増えるか
- ③それを上回るだけの収入増になっているか
📋 この記事のまとめ
- 2026年改正で所得税の壁は178万円、住民税は119万円に引き上げ
- 社会保険の扶養130万円は変更なし(例外あり)
- 配偶者特別控除(配偶者控除含む)は173万円まで満額、〜201.6万円までは段階的に減額
- 高校生(16〜18歳)の扶養控除の壁は136万円(所得税38万円控除)
- 大学生(19〜22歳)の社会保険の扶養は150万円
- 大学生(19〜22歳)の特定扶養控除は163万円まで満額、〜201万円までは特定親族特別控除として段階的に減額
- フリーランスは「収入」でなく「所得(収入-経費)」で判定
- 世帯全体の手取りと将来の年金を合わせてトータルで判断することが重要
※ 記事中の所得税の壁178万円・住民税非課税基準119万円、136万円・163万円・173万円・201万円などの控除額は、令和8・9年(2026〜2027年)の時限措置を含む数値です。令和10年(2028年)以降は見直し予定。フリーランス・年金受給者は給与所得控除の対象外のため、時限措置による引き上げはありません。